若い女性患者を。。医師の臨床講義体験談(男性告白体験談)

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大学病院での臨床講義って、どんなふうに行われているかご存知ですか。
医学部は、6年間ありますが、私の在籍した医学部では、5年目からの2年間は、臨床講義およびポリクリと呼ばれる臨床実習が主体となります。
ここでは、初めて体験した第一回目の内科学の臨床講義の体験談をみなさんにお話しします。
臨床講義室の部屋の構造は、最近は、テレビや映画で出てくる場面がちょくちょくありますので、
よくご存じかとおもいますが、まったくご存知ない方の為に説明します。
1階と2階が一つの空間となった教室になっており、白板の前は、ちょっとしたスペースがあり、
どの席からもよく見えるように、そこを階段状の席が半円形に取り囲む構造になっています。
このスペース、何のためにあるかわかりますか。
じつは、それはそれは、患者さんにとっては空恐ろしい、羞恥地獄の場所なんです。
最後列の席からみるとちょうど2階席から1階部分を見下ろす形になります。
最前列から最後列まで、階段状に連続的につながっており、約200人ぐらいの学生が収容できる空間になっています。
まさに、ちょっとした劇場のような構造です。
われわれにとってはみなれた空間でも、ここに連れてこられた患者さんにとっては、きっと、入院して以来、初めて、教育実習病院に入院したことを、最も切実に実感する恐怖と羞恥の場所だと思います。
あるいは、大学病院になんか来るんじゃなかったと後悔の念でいっぱいになる場所かもしれません。
原則として、現在入院している患者さんの症例が講義のテーマになります。
臨床講義には、1ないし2症例が、提示されます。
単なる講義では、実感がわきませんが、臨床講義では、患者さんが最前列に陣取る学生さんのすぐ目の前に連れてこられますので、単なるテキストに書かれた病気ではなく、その病気を患っている患者さんを目の前にすることによって、その病気を身近に感じるようになります。
内科、外科だけでなく、婦人科、泌尿器科なども臨床講義があります。たいがい婦長さんが患者さんを誘導して、講義室まで連れてきます。講義が始まる少し前には、すでに患者さんは、車椅子かストレッチャーかあるいは、自分で歩行して教室まで来て、入り口の通路で待機しています。
そして、教官が自分の病気について学生に説明し始めているのを通路のかげからそっと聞き耳を立て、自分の出番がいつかいつかと、じっとかたずをのんで待っています。
俳優が、舞台で自分の出番を待つような緊張した一瞬だと思いますが、決定的に違う点があります。
舞台出演の場合は、自分から望んで緊張を迎えるのですが、この場面では、200名近い学生の前に、自分の意に反し、半ば強制的に、いやいや連れて来られ、羞恥心の伴った緊張の一瞬を迎えることです。
そこでは、教授、プラクチカント、学生からいろいろ質問されますが、中にはこれだけは答えたくないという質問にも答えなくてはなりません。
自分の病気について、すべてプライバシーの保護など全く配慮されずに、あらいざらい学生にさらけださなくていけないのです。
裸をみられることももちろん恥ずかしいことですが、自分のプライバシーをたとえ医学部の学生であっても、すべてさらけ出すということは裸をみられる以上に恥ずかしいことかもしれません。
前置きが長くなってなってしまいました。
第一回目の臨床講義の内容は診断学の実際でした。
講義の前から、今日は若い女性が患者として我々の前に出されるようだとの噂が流れていました。
初回の臨床講義では、教官が学生に配慮??し、毎年恒例の様に、必ず、若い女性が連れてこられるとの情報を、一部の学生が先輩から聞き出し、みんなに伝えているの聞いたときは、そんな事ある訳ないと、私には全く信じられせんでした。
しかしながら、一方で、ひょっとしたら、という期待感もあり、胸の高鳴りを感じながら講義に出席したのを今でもよく覚えています。
最初に、今日は内科診断学について講義しますとの教授の話から始まり、プラクチカント(医学部で使われる独特の言葉で、プラカンともよび、臨床講義などの時、6人位で担当する)が前に呼び出され、プラクチカントの前に患者さんが連れてこられました。
なんと、本当に20代前半ぐらいの若くてきれいな女性患者さんが連れてこられたのです。
その時、一瞬、オーっといった、どよめきがおこりました。
その直後、みんな、息をのんでじっと見守っているのがわかりました。
あの噂は本当だったんだという驚きがこみ上げてきました。
おそらく、みんなが同じ気持ちだったと思います。患者さんの方は、呼ばれる瞬間まで、いまかいまかと体を震わせながら、待機していたことと思います。主治医らしき医者が患者さんに上半身裸になるように告げたのです。裸になることを強要され、従うしかありません。
ゆっくりとうつむき加減に上の寝間着をおずおずと脱ぎ、下着姿になりました。
次はどうしたらいいのという表情をしたところで、主治医らしき医者に下着も脱ぐように促されていました。下着を脱いだ時点で、上半身は完全な裸になっていました。
恥ずかしくて両手で胸を隠し、下をむいていたのですが、すぐに、腕は、とりはらわれ、診察できやすいようなポーズをとるように促されていました。
多くの医学生の視線を感じながらややうつむき加減に、恥じらいを見せながら教授および学生から診察を受ける姿が、何とも淫靡に感じたのを覚えています。
教授は、その女性のお乳の周辺を指し示しながら、聴診、打診などの方法を説明し始めました。
いつもの、系統講義であれば、最後列付近は、ざわざわしており、教官の声も、届かないこともあるのですが、この時ばかりは、しーんと、静まり返り、学生全員の目が、その女性の上半身にそそがれていました。
この時私は、教授の話はまったく上の空で、この女性が今どんな気持ちでこの場にいるんだろうか、どんな病気で入院しているのだろうか、講義に出てくださいと主治医に告げられたときは、どんな気持ちだったのだろうか、拒否できなかったのだろうか、昨晩はよく眠れたのだろうか、今こんなふうに多数の学生の前に出て裸になることを予期していたのだろか、ーーーーー、それ以外にもいろんな思いが頭の中をかけめぐっていたのをよく覚えています。
患者さんはというと、我々の方には、全く視線を合わせないように、ずっとうつむいていましたが、多くの視線が自分だけに向けられているのはわかっているはずです。
おそらく緊張と恥ずかしさのため、何をされているのか判らないくらい、頭の中は、真っ白な状態だったと思います。
若ければ若いほど,その恥ずかしさもひとしおだったと思います。
臨床講義の場合、患者さんにとって何のメリットもありません。
本当にモル!モット扱いでした。
車椅子や、ストレッチャーではなく、普通に歩いて教室に入ってきていますので、重症患者ではなく、したがって、余計に恥ずかしさでいっぱいのはずです。
若い女性が200人近い医学生の前で裸になる場面を想像をして見てください。
これは、本当に教育病院に名を借りて一方的に行われる、女性の羞恥心を無視した教育実習です。
このような場面、あるいはこれ以上の場面を、その後、何度も経験するのですが、この時の、初めての体験は、私の想像をはるかにこえたものであり、一生忘れられない出来事として私の記憶にいまでも鮮明に残っています。
この時の私はというと、患者さんには申し訳ないのですが、一生懸命、自分の頭を、学問的な思考回路に切り替えようとした努力したのですが、医学生としてのモラルが欠如しているのか、いろんなみだらな気持ちが心の中で渦巻き、どきどきした興奮を抑えきれない自分が情けなく思ったものです。本当に医学生失格でした。
(追記)学生の時は、臨床講義の舞台裏は、全くわからず、上記のような感じしかうけませんでしたが、医者になってからは、今度は全く逆の立場になりました。受け持ち患者が臨床講義に出る場合、患者さんを説得するのが主治医の役目であり、この仕事が結構大変です。なかには、絶対でたくないと講義の直前まで拒否される場合もあり、そんな場合は、上層部からの叱咤と患者さんとの板挟みで大変です。患者さんから、なんとか臨床講義に出なくてすむように先生の力で何とかしてくださいと懇願されることがしょっちゅうです。受け持ちになると、毎日接するため、どうしても、患者さん側に肩入れしたくなるものです。私のこれまでの経験の中で、なかには、前の晩、一睡もできなかった患者さんも知っています。また、わけのわからない不安感で一晩中、泣きあかし眼の周りがはれた患者さんも知っています。上記の臨床講義に連れてこられた患者さんは、きっと心に深い傷として残ったに違いありません。
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